グローバル・シティズン・シップとしての基準

グローバル・シティズン・シップとしての基準

ディロンマーティ,ソニア

          
20世紀は民主主義を世界にもたらしました。

しかし民主主義はそれを作り上げる人々に適当な訓練がされていない場合、暴力的破壊者に成り得るのです。しかし、民主主義は、人々がそのために訓練されていなければ、それ自体が非政府主義的な小物になり得るのです。
民主主義は人民による、人民のための、人民のものなのです。
もし、その「人民」がこの複雑な社会の舵を取る訓練を受けていなかったら。「アラブの春」の革命のように、最終的に原理主義者たちの制圧に終わってしまうことが起こり得るのです。

グローバル・シティズンとして価値の基準を作るというアイディアは、「人民」を”市民”へと発展させようとするものです。”市民”とは21世紀のグローバル社会を、その社会に住むすべての住民にとっての幸せで豊かな場所に変えることのできる人々のことです。私たちは、どのようにして、人びとの心の中に、社会的、経済的、 環境的にバランスの取れた考えを持つ“市民”への発展という考えの種をまくこ とができるのでしょうか。

ビジネスの世界では、産業界における成功の基準を発展させるために、多くの研 究が行われてきました。私は、国際市民の性質の発展のためのアウトラインを作 るために、同様の研究を行うことを提案しているのです。この研究は、個人と社 会との間でバランスの取れた人類の可能性のためのモデルとなることでしょう。

グローバル・シティズンは、かつてないほど小さくなっていく世界に対応する見方をもたなけれ ばなりません。過激主義的思想やテロ行為には、もはや国境は存在しません。エ ボラウイルスは大陸を超え、テクノロジーは時差に関係なく広まっていきます。 多国籍企業の成功は、世界中の国で行われている業務と顧客によって支えられて います。

今日、私たちは明治維新の時と同じ岐路に立っています。明治時代、日本では高度な基準 分析が行われ、それに合わせて社会のシステムを改善してきました。その結果、この小さ な島国は、最近までアジアで唯一の西洋の国々と同等にまで経済成長した国だったので す。私たちは、現在においても、グローバル・シティズンに関する世界の成功事例を集め、同様 の基準分析を行うことができます。このようなやり方は、世界中の国でも採用さ れるでしょう。なぜなら、彼らもその基準分析の中に、他国から押し付けられた 思想ではない、自分たちの DNA を見出すことができるからです。

社会の特性は時代と共に変わっていきます。この、ある時代や社会の成員や集団が持つ、 他の時代や社会とは明確に区別された、価値観・信念・行動様式をエートスと呼びます。 エートスは以下の 5 つの要因が相互作用しながら形成されていきます。すなわち、1.地 理的資源と変化 2.地政学的情勢 3.社会のガバナンス構造 4.歴史の遺産的影響 5.個 人の欲求や要求条件、の 5 つがこれら要因です。そのいくつかは教育によって作り上げら れるものであり、そのほかの要因が関わったり、補償したりします。日本を例に取ってみ ましょう。天然資源がなく、食料需要に対して 23%の供給しかできていないにも関わら ず、小さな国土であり続ける一方で、その経済力は世界第三位であり、世界でももっとも 犯罪発生率の低い国です。日本にあるものは、“市民”なのです。今こそ、日本の固有文 化の一部分が、どのように日本人の形成に関わってきたのかを分析するときなのです。

このようなグローバル・シティズンの特性の基準を発展させることは、非常に重要なことです。東西ドイ ツを例に取ってみましょう。同じ歴史を持った同じ人種の人々が、たった 60 年間の政治 の変化によって、東に住む人々の行動様式を変えてしまい、その経済をぼろぼろにしてし まったのです。 人間の心理は社会グループに従って分類される必要があります。これは、所属へ の要求から来るものであり、アイデンティティーとは、私たちを、“個人”を超 えた私心のない行動に導くものです。
世界的な平和を達成するためには、アイデ ンティティーは多層性のもとに形成されるべきであり、けっして排除性のもとで あってはならないのです。多くの社会が教養のある人で構成されるようになり、 人間心理学では個人とその団体を証明することが必要です。これは自分が何に所 属しているのかを知るためです。 この様な自己認識方法は自分の想像以上のものを気づく機会にもなります。
国際 平和を手にするためにはアイデンティティーの多様性が必要です。多くの社会が 当たり前のように教育を受けることが出来るようになっています。それにより、 社会間の移動や交換が地理的にも文化的にも行われ、人々の多様性は更に広がっ ています。多様性に富んだグローバル・シティズンになるために、刺激的な公共政策を打ち出し 、活発化させる必要があります。
イラクやイランでので言えば、根本的な宗教へ の信仰心が減退しているため、お祈の念仏に対して奥の苦情が発生しています。 これは革命を意味しています。しかし、彼らは国籍として個人を自覚する以前に 、ムスリムであるという宗教意識が強いのです。国の言葉や文化と通して自己 意識を持つ方がより平和的で経済的に裕福なのです。宗教や政治的な管理と自由 な経済システムの分裂は権力の抑制と均衡を保ち、健康的な社会を作るのです。
個人と社会のバランスは必要で、健全なバランスを取るということははとても重 要なのです。日本で例を挙げると、高いヒエラルキーにいる人々が下階層の人々 の自己表現を制圧し、憂うつになり、高い確率で自殺を招きます。一方で、シリ コンバレーでは個人のスキルや結果に到達するための決断は報われます。世界中 の人々がシリコンバレーという36㎢というスペースで会社を立ち上げ、日々のテク ノロジーのトレンドを日々作り上げ、そして10年おきに新しいクラスの億万長者 がその地から生まれていきます。20世紀に国家へ伝道師が来て作り上げられた概 念に抵抗するということも国際社会における日本の個性になり得るかもしれませ ん。

グローバル・シティズンの基準を作り上げるには基礎的な分析と総意が必要です。今が日本 にとって第二次世界大戦を前向きに乗り越えて世界のリーダーシップをとるいい 機会だと思います。戦後、ドイツは過去の事実にしっかりと向き合い、リーダー シップをとる位置につきました。EUの国々は前向きに政策を進めています。しか し日本はまだ暗い過去に縛られてしまっています。

今日、すべての国々が暗い過 去を持っています。過去の失敗により人々のモラルが作り上げられてきたのです 。過去の事実を否定せず。次世代に同じミスを犯させないためにも過去の事柄か ら学ぶ必要があるからです。 これは未来の幸福なグローバル・シティズンの為です。グローバル・シティズンという新しい考えを世界中で作 り上げて影響させていくためにはリーダーシップが必要です。成長した経済関係 はとても重要です。
歴史を振り返ると、英国の文化や社会的影響を与えていたの は東インド会社です。アメリカの国際化は戦後の工業成長が影響しています。政 府や多国籍団体などはグローバル・シティズンのコンセプトを描き、普及していく必要がありま す。これは持続的な世界平和に欠かせないことです。研究を通して、グローバル・シティズンに おける構想を成長させていきたいと思っております。
同時にビジネスモデルの経済 的・地政学的構築を行います。これは政策立案者や企業役員に簡単にも伝える手 段になります。今という時が人民の意識を覚まし、この基礎的な概念を伝える教 育を行うのにとても重要な時期です。健全なリーダーシップが求められています 。科学技術の進化は非常に多様なアイデンティティーに近因化もたらしました。 経済のリーダーシップは新旧の権力の間で揺れています。新たに持続的国際社会 を確立するのはとても重要なのです。今日の経済社会と個人の興味は一つの政策 や宗教のテリトリーではないのです。これをグローバル・シティズンモデルと呼びます。