デザインコンセプト

概念
包括的社会とは個々の権利を守りつつ、社会のニーズに対して自身のニーズを満たすという理念です。生活の中で清潔感を求めない人々とどう共に働き、暮らしていくのであろうか。社会問題を説明する会やパンフレットの配布のみでは社会は変わりません。人には生きていくため栄養、衛星、健康、倫理的発展へと導く教育が必要です。私がインドで見た光景ではそれらが欠けていました。特に衛生意識は劣悪です。そこで、衛生意識の向上を目的に2014年コミュニティ・ウィークの課題としてインドの衛生問題を取り上げ、インドで建設される公衆トイレのデザインを参加者に提言していただきます。

デザインチャレンジ
衛生問題へのアプローチはどのジャンルでも結構です。立体図形からキャンペーン、政策提案書など概念に沿って書き下ろしてください。

人間社会への影響
衛生管理は人間の暮らしにとって大切な要素です。もし社会が環境を大切にしないのなら人の命に価値を与えられるのであろうか。人間は動物と違って、現在の行いが未来にどう影響するか考える生き物です。将来に生まれてくる子供たちが暮らせるように今の暮らしを見直せます。私がインドを訪れたとき、ニューデリーからジャイプール行きの列車に40年ぶりに乗りました。シャタブディ・ファーストクラスが人気であり、席が取れないこともあります。飛躍的に上昇していくインド経済によってサービスなどが整っていると期待をしていました。朝6時発に間に合うよう5時半に駅に着きました。駅の人ごみの中には列車に急いで乗る人と、こじきやホームレスが集まっていました。私は駅で寝ていた人たちを跨ぎながら列車へ向かいました。驚くことに、駅で人の糞便に気を付けながら歩かなければならない状況でした。

なぜインドの人々はこのような汚れた環境で暮らしていけるのか。私はファーストクラスのキャビンに入り、窓側に座りました。窓の外を見渡したところ線路付近がゴミ箱とトイレとして使われているのに気づきました。出発から一時間経過しても同じ風景を見続けました。

インドは億万長者が多い国です。結婚式は派手で出過ぎたお祝いをします。誰もが国を誇りに思っている国を自身で汚しています。インドの都会は教育が行き届いている社会ですが変化をもたらさず、見て見ぬふりをしています。私はチャンディガールからデリーに向かう際乗った高級高速バスにはトイレがなく、休憩所のような施設も設立されていません。突然男性乗車客が運転手にバスを止めてくれと頼みました。インドでは集団暴行が多く、バスには女性乗車客が少なかったため、危険を感じ恐怖が襲い掛かりましたが、男性がトイレにいくためバスを止めたことが解りほっとしました。バスが出発した数分後またバスが止まり、何人かの男性乗車客が用を足しにバスを降りました。私は運転手になぜ女性はトイレを我慢できるのに男性はできないのか聞きました。もちろん、答えては返ってきませんでした。
インドでは問題を認識しないことを解決法としています。汚染された国に対して変えようと思わず、カーストの低い値にいる人々の問題であると正当化しています。

インドでは家に設置されているトイレの数に比べて携帯電話の数の方が多いです。家にトイレがない場合は、離れた公衆トイレもしくは低木へ行きます。このような習慣によって女性が狙われ、性的暴力が相次いでいます。夜にトイレへ向かった二人の少女がレイプ殺人に巻き込まれました。この事件はカースト差別も関わっていましたが、もしトイレが家にあったなら少女たちは生きていたかもしれません。トイレの普及で性的暴力はなくなりません。但し、トイレが普及すればそのような事件が防ぎ、女性を被害から守れます。また、インドは女性差別が根強い国です。女性が生理中の時は崇拝の場所を訪れることができませんが、男性が道端でトイレを済ますのは社会的烙印とはみなされません。

そのうえ、市民を守る警察官や警備員が勤務中に使える公衆トイレもありません。水不足と下水道の遅れた開発が難事です。清潔にしていないトイレは病気の培養地でもあります。今回のプロジェクトではインドで現地に合った公衆トイレを建設するだけではなく、トイレを清潔に保つ使い方と正しい使いたかを教え、社会発展を促進するため清潔感への関心を向上していきます。